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笹幸恵
2021.5.15 16:32日々の出来事

一億総大衆化。

24日に開設される予定の大規模なワクチン接種センターに
ついて、自衛隊が日本旅行や人材派遣会社に
37億円で「丸投げ」していたと、AERAが先日報じた。
「防衛省関係者」なる人物がやたらに「丸投げだ」と
コメントしているのだけど、
一読すれば、足りない人材やノウハウを
民間で補ったというだけに過ぎない。

人手が余っている部隊などどこにもない。
自衛隊病院に勤務する医師、看護師とて同様だ。
そもそも何の根拠規定があるのかも不明瞭で、
何でもかんでも自衛隊を利用するな、と
私などは思ってしまう。
それなのに「自衛隊が丸投げした、けしからん」とでも
言いたげな記事、一体何を意図しているのかわからない。
自衛隊が民間に協力を依頼することが、
そんなに批判されることか?
自衛隊は万能のよろず屋さんだとでも
思ってるのか?
一体どこから目線で「丸投げだ!」と憤るのか甚だ不明。


一方、市長やら町長やら行政関係者のワクチンの
優先接種もやり玉にあがっている。
これもなぜ批判されるのかサッパリわからない。
余ったワクチンでなくても、さっさと接種して
行政責任者としてやることやってくれ、というのが
普通じゃないのだろうか。
「オレ様より先にワクチン打ちやがって、
これだから特権階級は!」
などと多くの人が思うのだろうか。
それなら、行政のトップは市民の最後にワクチン打てば
納得するのか。
自己犠牲の精神を発揮するのはそんなところじゃないだろう。
平等主義が蔓延っていて、もうワケがわからない。
本末転倒、支離滅裂。
そもそもワクチン打ちたくない派の私にとっては、
双方の言い分がどうのというより、
「ワクチン=無敵のカミカゼ」と思っていること
自体に「ちーがーうーだーろーッ」と
ツッコミを入れたいが。


丸投げ? けしからん!
優先接種? けしからん!
自らの正義を信じて疑わない「正義中毒者」たちが
鵜の目鷹の目で批判するネタを探している。
彼らはどんどんエスカレートするだろう。
今、私たちはまさに「一億総大衆化」を
目の当たりにしている。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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